Flatline
フラットライン
線が平らになること。医者にとっては終わりの印で、CCRUにとっては速すぎて計器が追いつかない印。
医療では、心電図や脳波から測れる電気活動が消えて線が平らになった状態を指す。1968年のハーバード大学医学部の報告が不可逆的昏睡の確認に平坦な脳波を挙げ、平らな線は死の判定基準のひとつになった。アメリカ臨床神経生理学会のガイドラインは、脳の電気的な無活動をアーチファクトでない2マイクロボルト超の電気活動がないことと定めている。平らさは閾値で決まり、閾値は書類の上で決まる。同じガイドラインには、心電図のアーチファクトをまったく含まない記録はめったにないとも書いてある。
1984年にウィリアム・ギブスンは『ニューロマンサー』でこの語を動詞にした。サイバースペースへの侵入中に脳死状態に陥ることがフラットラインで、何度もそこから引き戻された伝説のハッカーはディクシー・フラットラインと呼ばれる。物語の時点で本人はもう死んでいて、人格はROMの構造体として仕事を続けている。
CCRUはAxsysの崩壊を描いた「Flatlines」の用語集でこう定義した。
Flatline. A concurrent trajectory of 0-redundancy, 0-dimensionality, and absolute (or continuous speed/ curvature (vortex)), defining a smooth space in itself (intensity = 0).
フラットライン。冗長性0、次元0、そして絶対的な、あるいは連続的な速度と曲率、すなわち渦の運動が同時に走る軌道であり、それ自体で平滑空間を定義する。強度は0。
医療のフラットラインは何も起きていないことを示し、CCRUのフラットラインは計器が追いつけない速度で何かが起きていることを示す。解像度の限られたモニターの上では、どちらも同じ1本の線。マーク・フィッシャーは1999年にウォリック大学の博士論文に『Flatline Constructs』という題を付けた。
参照
- Guideline 6: Minimum Technical Standards for EEG Recording in Suspected Cerebral Death
- Ad Hoc Committee of the Harvard Medical School, "A Definition of Irreversible Coma", JAMA 205(6), 1968.
- William Gibson, Neuromancer, Ace Books, 1984.
- Mark Fisher, Flatline Constructs: Gothic Materialism and Cybernetic Theory-Fiction, PhD thesis, University of Warwick, 1999.
- Ccru, Ccru: Writings 1997-2003, Time Spiral Press, 2015.