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Expressive voting

1票が選挙の結果を決める確率はほとんど0であり、この事実はほとんどの投票者に知られていて、それでも投票率が0にならないことのほうが説明を要する。公共選択論はこの謎に、投票とは欲しい政策を手に入れるための手段ではなく、自分がどちらの側の人間かを示すための、きわめて安価な表現である、という答えを与えた。

票の価値を、自分の票が結果を左右する確率 pp、望む政策が実現したときの利益 BB、投票という行為そのものが持つ表現の価値 EE で書くと、次のようになる。

V=p⋅B+EV = p \cdot B + E

大規模な選挙では pp は事実上0で、残るのは EE だけだ。市場での購入は選択がそのまま結果になるので pp はほぼ1であり、買った者は買ったものの帰結を自分で受け取る。投票所ではこの帰結の項が消えるため、表現はほとんど無料で手に入る。研究者はこれをしばしばサッカーの観客の声援にたとえる。観客の声がチームを勝たせることはまずないが、観客は声を出すのをやめない。

1票が決定的になる確率がほとんどないという指摘は、1957年のAnthony Downs『民主主義の経済理論』にさかのぼる。それを投票者の選好の理論として組み立て直したのが、Geoffrey BrennanとLoren Lomaskyの1993年の著作『Democracy and Decision』で、副題は選挙における選好の純粋理論という。

2013年8月19日、Bryan CaplanはEconLogでこの理論を1871年のアルザス=ロレーヌに当てはめた。フランクフルト条約は住民に、1872年10月1日までにフランスへ移るかドイツ国籍を受け入れるかを選ばせた。併合後の最初の5回の選挙では、新しい市民の90パーセント以上が反プロイセンの自治派に投票した。1876年までにフランスへ移ったのは、住民のおよそ5パーセント、約10万人だった。Caplanの結論は、反ドイツ感情の大部分は見せかけだった、というものである。

When you vote, the chance that you tip the outcome is near 0%, so you might as well just scream about your identity.

投票するとき、自分が結果をひっくり返す確率はほぼ0パーセントなのだから、いっそ自分のアイデンティティを叫んでしまえばいい。

Bryan Caplan, "Expressive Voting, Emigration, and Alsace-Lorraine", EconLog, 2013

同じ日、Nick Landは自分のブログOutside inで、この例からCaplanが引き出そうとしたのとは逆の教訓を引き出した。私的な経済生活では几帳面なほど合理的な人々でも、選挙の機会があれば、自分自身の顕示選好から見ても狂気としか言えないものに投票する。移民もまた、自分が逃げてきた社会病理を再生産する方向へ票を使うだろう。

Like the French in post-1871 Alsace-Lorraine, they'll probably vote as if they want to live somewhere they manifestly don't want to be.

1871年以降のアルザス=ロレーヌのフランス人のように、彼らはおそらく、自分たちが明らかに住みたくない場所に住みたがっているかのように投票するだろう。

Nick Land, "Suicide Express", Outside in, 2013

足で選ぶExitは決定的で、帰結は本人に返ってくる。投票は決定的ではなく、帰結は全員に薄く塗り広げられる。逃げてきた場所の政治を逃げた先で再現する廃墟の投票は、この非対称の上で成り立っている。Landのリバタリアニズム批判におけるこの概念の位置は、equilibrium (DoL pt.1)で扱っている。

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