# fumigation (DoL pt.6)

> 2017年、Landは自分のコメント欄が下水になったと認めた。レッセフェールが最後に失敗した場所と、そこからブログの主が消えていく記録。

- 2026-10-21
- https://inhumanize.com/p/fumigation

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## 再教育労働収容所

2013年10月、Landは自分を標的にした攻撃記事について、残忍で怠惰で不誠実な中傷記事の標的にされるのは間違いなく光栄だけれど、ぼんやり苛つきもする、と書いた。書いたのはCato研究所のJason Kuznickiで、載ったのはUmlautという小さなウェブ誌だった。Landは記事の中身にはほとんど取り合わず、自分は白人ナショナリズム的な人種「現実主義」の提唱者ではないし、白人ナショナリズムと市場リベラリズムが一緒になるべきだと論じたこともないし、市場に反対する議論をしたことも、人種の純潔を唱えたこともない、と箇条書きで記録だけ残してから、メディアとの「交戦」という、成功するほど切実になる問題のほうへ話を移している。

> Umlaut also allows comments, which has been a comprehensive fiasco for them this time (check it out). All the visitors have been ripping into Kuznicki, and using the up/down vote system to quantify the point. I'm biased, but I've found it utterly hilarious. It's worth noting, however, that the left media machine has been stripping out its comment threads, which makes them far more effective as no-comeback attack machines. Finally, Twitter has been an extraordinary resource. It's an absolutely critical component of our capability to defend ourselves.
>
> Umlautはコメントも受け付けていて、今回それは彼らにとって完全な大失敗になった（見てみるといい）。訪れた人がみんなKuznickiを引き裂いていて、賛成と反対の投票の仕組みを使ってその点を数字にまでしている。僕は偏っているけれど、心底おかしかった。ただ注目しておく価値があるのは、左派のメディア機械が自分たちのコメント欄を剥ぎ取りつつあることで、それによって記事は反撃を受けない攻撃機械としてはるかに効果的になる。最後に、Twitterは並外れた資源だった。それは僕たちが自分を守る能力の、絶対に欠かせない部品だ。
>
> — Nick Land, "Zacked", Outside in, 2013

このときコメント欄は武器だった。誰でも書き込めて、誰でも賛否を押せて、その総和が攻撃記事の書き手を公開の場で押し返す。左派がコメント欄を閉じるのは、それが自分たちに不利に働く自生的な秩序だと知っているからで、だから開いたままの欄は、開いていること自体が反撃の能力になる。Landは記事を、学び、備え、先を読まなければならない、これから来る戦いは正しく戦う価値がある、と結んでいて、コメント欄でもその調子を崩さない。Kuznickiについては、僕たちは彼を進歩派だと見ているけれど、彼のほうは自分を、僕たちと結びつけられたら進歩派に吊るされる弱い異端者だと思っている、だからあのヒステリックな距離の取り方になる、いちばんひどい魔女狩りの火付け役は、自分が魔女だと思われるのを恐れている奴だ、と書き、ヒップスターの皮肉がまだ流行っているのかと茶化す読者には、こう返す。ヒップスターの皮肉を馬鹿にするな。それだけが僕たちを再教育労働収容所から遠ざけている。

主はこの頃、自分の欄にずっと居た。このシリーズが素材にしているLibertariansタグの46記事のコメント欄を、トラックバックも含めて数えると、2013年の書き込みは578件で、そのうち123件がLand本人のものだった。5件に1件を主が自分で書いていた計算になる。主は欄を手入れもしていて、2014年11月には、荒れた調子の書き込みに、泡を吹かなくても主張はできる、論じている相手のLutterだってそうしている、様式も優雅さも機知も最低限ある文を数秒かけて組み立てる気がないなら、なぜ僕がそれを置いてやらなきゃならないのか、と返している。欄は開いていて、主がそこに立っていた。

## 牛乳瓶

4年後の2017年7月22日、Landは燻蒸と題した短い記事を出した。

> Multi-channel clamor recently, consisting of people telling me the XS comment ecology has turned into a sewer. This claim is beyond all serious question true. Laissez-faire has failed here. Some kind of ruthless torching-out process is likely in the near future.
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> 最近、あちこちのチャンネルから騒ぎが聞こえてくる。XSのコメント生態系が下水になった、と僕に言ってくる人たちだ。この主張は、真剣な疑いの余地なく正しい。レッセフェールはここで失敗した。何らかの容赦ない焼き払いの過程が、近いうちに必要になるだろう。
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> — Nick Land, "Fumigation", Outside in, 2017

もっとましな手がなければ、1年か2年前の水準から格調を下げていると思われるコメントを容赦なく間引きはじめるだろう、いまの状態の格調を下げることなどほとんど不可能だけれど、とLandは続け、ひどいことになったという現実的な認識から始まらない反応は笑われたうえで無視される、と予告してから、こう書いている。

> No plans to make the purge retrospective. The current dismal state of commentary will be preserved as a monument to the workings of entropy, and a lesson to anyone extravagantly confident about the working of spontaneous order in micro-scale cultural institutions.
>
> 粛清を遡って行うつもりはない。いまの惨めなコメントの状態は、エントロピーの働きの記念碑として、そしてミクロな規模の文化的制度における自生的秩序の働きを過信しすぎている者への教訓として、保存される。
>
> — Nick Land, "Fumigation", Outside in, 2017

投稿する側にもエントロピーはたっぷりあった、それは少なくとも部分的には別の問題だと思う、とも付け加えている。リバタリアンが世界の規模で信じてきた自生的秩序を、Landは自分のブログの規模で、下水として記念碑にすることにした。

その朝の欄で、常連のAlrenousがLandより先に診断を書いている。0番目に言っておくと、下水の秩序もやはり秩序だ。1番目に、問題の原因を規模に結びつけることにはまだ反対だ。そしてこう続く。

> Comment sections have no negative feedback. Commentariat neither engage in stupidity shaming, nor have functionally-destructive downvotes. There is only the positive feedback of attention. Or rather, there's the positive feedback of delusions of attention and impact, meaning a standard comment box rewards primarily the delusional, and secondarily the starved-for-attention.
>
> コメント欄には負のフィードバックがない。コメントする連中は愚かさを恥じさせることもしないし、機能的に破壊力のある反対票も持たない。あるのは注目の正のフィードバックだけだ。というより、注目と影響力の妄想の正のフィードバックがあって、だから標準的なコメント欄が報いるのは、まず妄想に取り憑かれた奴で、次に注目に飢えた奴だ。
>
> — Alrenous, "Fumigation", Outside in, 2017, コメント欄

帰結が書いた奴のところへ戻ってこない。愚かな書き込みをしても誰も潰れず、潰れたという信号も流れず、注目だけが増幅されて返ってくる。Alrenousは、上位の書き手の反対票ほど重くする市場のような仕組みなら、うまい創始集団と組めば機能するかもしれないとも書いていて、Landはその提案のほうではなく、規模の話に戻って返事をした。

> Your attention to screwy feedback structures seems sensible, but that's exactly what the scale issue comes down to. It's hard to maintain a robust eco-system in a milk-bottle. Expect domination by a few simple species, choking out all biodiversity and complex dynamics.
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> おかしなフィードバック構造に注目するのは妥当に思えるけれど、規模の問題はまさにそこに行き着く。牛乳瓶の中で頑健な生態系を維持するのは難しい。いくつかの単純な種が支配して、生物多様性と複雑な動態をすべて締め出すと思っていい。
>
> — Nick Land, "Fumigation", Outside in, 2017, コメント欄

市場の秩序が機能するのは、無数の実験が並んで走り、失敗が局所で潰れ、潰れた跡に別の種が入り込める広さがあるからで、牛乳瓶にはその広さがない。瓶の中では、いちばん単純でいちばん声の大きい種が、ほかの全部を窒息させる。Alrenousの言うとおり、下水の秩序もやはり秩序で、それは誰にも設計されずに自生した。レッセフェールが最後に失敗したのは、Land自身のコメント欄だった。

## 490 vs 0

その単純な種が何だったのかは、数えればわかる。同じ46記事のコメント欄で、Land以外の書き込みのうち人種の話題、たとえばraceやwhiteやblackといった語を含むものの割合は、2013年が12.1パーセント、2017年が13.7パーセントで、ほとんど変わっていない。このブログは最初から人種を論じていたし、HBDを概念上の梃子と呼ぶ主のもとで、それは話題であり続けた。変わったのは別のものだ。人種的な蔑称を含む書き込みは、粗く数えて2013年の455件中0件から、2017年の1252件中75件、6パーセントへ跳ね上がり、ユダヤ人に触れる書き込みは0.2パーセントから13.4パーセントになった。しかもそれは少しずつ増えたのではなく、2017年4月のAyn Randの記事の欄では40件中蔑称0件、ユダヤ人への言及1件だったものが、7月8日の記事から一気にあふれ出している。

その7月8日の記事は、こういうクイズだった。

> Nazism is the only political form that corresponds to the soul of the European people.
>
> — Without peeking, see if you can guess which 'end of the political spectrum' this comes from.
>
> ナチズムは、ヨーロッパの民の魂に対応する唯一の政治形態だ。
>
> 覗き見せずに、これが政治スペクトルのどちらの「端」から来たものか当ててみろ。
>
> — Nick Land, "Horseshoe Quiz", Outside in, 2017

政治スペクトルの両端が曲がってくっつくという馬蹄形の理論を試すクイズで、Landは追記に「関連」として、テネシー州の共和党員を名乗るアカウント@TEN_GOPの投稿を貼った。反ファシストのトランプ抗議者が、ヒトラーの引用だけでできた演説に拍手している、今日のインターネットで最高のものだ、という投稿だった。その3か月後の10月17日、ロシアのメディアRBCの調査報道は、@TEN_GOPがサンクトペテルブルクのトロール工場によって作られたアカウントだったと報じている。アメリカの極右の声として1年半以上活動し、7月の時点で12万9000人のフォロワーを抱えていた。馬蹄形の証拠として貼られたものは、どちらの端でもなく、外国の工場から来ていた。Landがそれを知っていたわけではない。事実があとから来ただけだ。その記事の欄には170件の書き込みがつき、Landの書き込みは1件だった。

主の数字のほうは、反対向きに動いている。

$$
\frac{123}{578} \approx 21\% \qquad\longrightarrow\qquad \frac{6}{1258} \approx 0.5\%
$$

2013年には5件に1件を書いていた主が、2017年には書き込みが倍以上に膨らんだ欄で、200件に1件も書いていない。燻蒸を宣言した記事には285件がついて主の書き込みは4件、8月のJacobite 5は148件で0件。そして10月16日、LandはHans-Hermann Hoppeが2017年のProperty and Freedom Societyの会合で行った講演を、いつもどおり健全だ、と一言だけ添えて紹介した。この欄には翌2018年7月まで490件の書き込みがつき、そのうち蔑称を含むものが27件、ユダヤ人に触れるものが47件あって、Land本人の書き込みは1件もない。そのHoppeの講演の下の、46記事でいちばん書き込みの多い欄に、主はいなかった。

## 夏眠

燻蒸の記事の欄には、主が見ていたものがもう1つ書き込まれている。glass of juiceという名前の読者が、朝の9時54分にこう書いた。君のコメント欄は3年前よりはるかに劣っている。NRxそのものが3年前よりはるかに劣っているからだ。主要な人物の多くは去り、残った者は質が低いか、オルタナ右翼に頭をやられている。皮肉な、あるいは皮肉でないナチズムの台頭、社会的にひどく保守的なオルタナ右翼の台頭、NRxはそもそも社会的に保守的なはずではなかったのに、それを覚えている人はいるだろうか、そしてトランプの台頭が、トロール文化一般や、とくにNRxがくぐり抜けたトロールによる虐殺と一緒になって、かつて泡立っていた反動圏の力をすべて吸い取ってしまった。みんなが先に進んだのなら、あなたもそうすべきかもしれない。

> This is highly convincing (unfortunately).
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> There's a degree to which NRx is in [aestivation](https://inhumanize.com/glossary/aestivation), this blog especially, while the Alt-Right mania burns itself out. Still, subtle murmurous dreams would adorn the flat-line better than jagged scatological nightmares.
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> これはかなり説得力がある（残念ながら）。
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> NRxは、とくにこのブログは、オルタナ右翼の狂騒が燃え尽きるあいだ、ある程度は夏眠している。それでも、フラットラインを飾るなら、ぎざぎざした糞便的な悪夢より、かすかなつぶやきの夢のほうがいい。
>
> — Nick Land, "Fumigation", Outside in, 2017, コメント欄

夏眠は、暑さと乾きの季節をやり過ごすために、カタツムリや肺魚が代謝を落として眠ることを言う。冬眠と違って、外が生きるには厳しすぎるときにだけ入る眠りだ。その1分後の10時24分、Landは段落の書き方くらいは強制しろ、大文字の使い方の決まりを守らない奴もなんとかしろ、という別の読者の提案に、それは特定の誰か一人を狙っているように聞こえるね、と返した。このシリーズの46記事のコメント欄で、それがLand本人の最後の書き込みになっている。

4年前、Landはブログの死について書いていた。2013年7月、リバタリアン的な陰謀論で知られたThe Daily Bellが閉鎖したとき、そこには並外れて質の高い人も含めて大勢のコメント投稿者がいた、ブログが死んで消えると、そのすべてがゼロになる、それはかなりの問題に思える、集合知は大部分が記憶の問題なのだから、とコメント欄に書いている。その直前には、反動圏のブログRadishがもううんざりだと店じまいを告げていて、Landはそれを自己廃絶と題した記事で、世界は少しだけ政治的に正しくなって、少しだけ面白くなくなった、と見送り、追記で、共産主義者を踏みつける仕事はどうやらまだ終わっていないらしい、と書き足していた。

Xenosystemsの欄はゼロにならなかった。僕がこのシリーズのために読んできたのは、Wayback Machineに残ったその写しで、490件の書き込みも、蔑称を含む27件も、主の最後の軽い一言も、遡って消されることなくそこにある。粛清は遡らない、いまの惨めな状態はエントロピーの記念碑として保存される、とLandは書いたけれど、記念碑はその言葉どおりに残った。ブログは自分の欄で、牛乳瓶の大きさの自生的秩序に何が起きるかを、論じるかわりに実演してしまった。瓶の中では下水が勝ち、知性は夏眠した。そして下水の書き込みは、主のいないまま翌年の夏まで流れ続けた。

[フラットライン](https://inhumanize.com/glossary/flatline)を飾るなら、ぎざぎざした悪夢より、かすかなつぶやきの夢がいいのかもしれない。

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## 参照

- Nick Land, "Self-Abolition", *Outside in* (xenosystems.net), 2013年7月15日.
- Nick Land, "The Reaper", *Outside in* (xenosystems.net), 2013年7月17日.
- Nick Land, "Zacked", *Outside in* (xenosystems.net), 2013年10月17日.
- Nick Land, "Libertarians are WEIRD", *Outside in* (xenosystems.net), 2014年11月11日.
- Nick Land, "Ayn Rand", *Outside in* (xenosystems.net), 2017年4月11日.
- Nick Land, "Horseshoe Quiz", *Outside in* (xenosystems.net), 2017年7月8日.
- Nick Land, "Fumigation", *Outside in* (xenosystems.net), 2017年7月22日.
- Nick Land, "Jacobite 5", *Outside in* (xenosystems.net), 2017年8月12日.
- Nick Land, "Hoppe on the Alt-Right", *Outside in* (xenosystems.net), 2017年10月16日.
- [From Troll Farm to Trump](https://dfrlab.org/2017/10/20/from-troll-farm-to-trump/)
